青森県の通夜ではお骨と対面!?独自の慣習「前火葬」をご存知ですか?

青森県といえば海に囲まれている地域で、降雪が多いなど比較的寒い環境にあり、歴史としては幕府に支配されるのが遅かったこともあり独自の文化が発達してきた場所でもあります。これは葬儀に関しても同様で他の地域とは異なるしきたりがあり、現在も多くの青森県民がしきたりを守っています。
青森県の基本的な葬儀の情報としては、葬儀費用の平均は170万円前後で全国平均よりも少し少なめであり、約95%が仏式となります。それでは青森県の葬儀のしきたりやマナーにはどんなものがあるのか詳しくチェックしていきましょう。

青森県独自の葬儀の慣習である「前火葬」とは

様々な地域によって昔から行われている独自の慣習やしきたりがありますが、青森県の独特の葬儀のしきたりとして「前火葬」があります。この前火葬とは通夜よりも前に火葬を行うもので、骨葬と呼ばれる場合も多いです。
この前火葬・骨葬はかつて津軽藩を治めていたある藩主の葬式に由来していると言われています。
当時その藩主が亡くなってしまったのが不幸なことに京に居た時で、津軽へ帰る時間はとてつもなく長く故郷に帰るまでに遺体の状態を保つことが難しいと考えられました。そこで遺体をそのまま持ち帰るのではなく、亡くなった場所で先に火葬を行い、故郷に帰ってから葬式を行ったとされ、これが現在も続く青森県の習わしとなっています。
現在まで前火葬が行われている理由の一つとして、降雪の多い寒い地域だったことも大きく関係しており、冬場の交通便の不便さにより親戚が集まるまでに時間がかかりすぎることから、先に火葬を行い通夜でお骨と対面するという慣習が出来ました。

青森県には他にも葬儀に関するしきたりがある

青森県で行われる葬儀には、前火葬の他にも独自の慣習やしきたりがあり、その一つが「もがり」です。もがりは古代日本の歴史書である日本書紀に登場する儀式で、亡くなった人を慰めるため葬儀までの一定期間ある場所で生活を遺体とともにするという儀式、またそれが執り行われる場所を指しています。
現在このもがりを行う家では2つの長めの木の棒を用意して、忌中の目印としてそれらを✕にして門に置くようにします。こうすることによって、周りにこの家は忌中であることを知らせるというしきたりだけが現在も残り続けています。
青森県で現在まで残っている独自の慣習には他にも「骨壷を使わない」というものがあります。青森県では多くの地域で遺骨をそのままの状態で納骨します。一般的には骨壷を使用しますが、あえて骨壺に入れないことで土へと還りやすくなり、先祖との繋がりも直接的になるとしてそうされています。

葬儀告別式はお使いが届いた人のみ出席する

全国的に行われる葬儀や告別式では、都合に合わせて通夜もしくは葬儀いずれかの出席を決められることが一般的ですが、青森県の場合は一般弔問がいずれかに決まっていることが多いです。また、葬儀の出席者があらかじめ遺族側によって決められており、出席者にお使いと呼ばれる案内状を送るか、届ける地域があります。この理由の一つとして、青森県の精進落としは会費制であることが多く、会食に出るということは取越法要に出席することになるため事前に案内を届ける必要があることが挙げられます。
もし一般弔問が通夜である地域に出席する場合で、どうしても都合が悪く出席できず香典を渡せなくなってしまった場合は、葬儀に出席した上で香典を渡すようにしましょう。葬儀が行われた後は流れとして法要と会食が行われるので、事前に案内をもらっていない出席者は法要と会食には参加せずに、そのまま葬儀のみで帰ることがマナーとなります。

精進落としは会費制の事が多い

精進落としは会費制の事が多い

青森県で行われる葬儀では、葬儀後に出される精進落しは会費制のことが多いです。そのため会食に出る場合、届いたお使いの中に御灯明料を入れるための封筒が入っていればそちらに納め、そうでなければ自身で白封筒に会費を入れて受付時に渡す流れとなります。封筒に入れずに裸のままで会費を渡す方法もありますが、マナーを重視するならばきちんときれいな封筒に入れて渡すことが重要です。
精進落しにかかる会費は地域によって異なりますが、相場として1人10,000円から15,000円くらいが必要です。八戸市では自宅で通夜を行う場合には通夜の後に3,000円前後の折詰を弔問者に対して渡す場合があります。そういった場合には香典とは別に御灯明料として、1,000円から3,000円ほどを用意しておくようにしましょう。
また実物の供物や供花ではなく、写真ポスターに不祝儀袋がついたものをポスターと呼んでいます。この時不祝儀袋には実際の供花や盛籠の値段と同等の金額となる10,000円以上を入れて、贈られたポスターは葬儀会場内に貼られることになります。

まとめ

青森県は雪深い時期に葬儀を行うことは容易ではなく、遺族だけではなく葬儀に関わる全ての人の負担を軽減するための合理的なしきたりとして、前火葬やもがりといった独自の慣習が現在でも残っています。
また、地域の相互補助の精神や親戚づきあいが強いため、自宅葬を行うことも多い地域でもあります。葬儀は親族とお使いが届けられた人のみが出席したり、会食は会費制の場合があったりと、他の地域とは異なる慣習に戸惑ってしまうこともあるため、青森県外から葬儀に出席する場合には地域の慣習やしきたりをしっかり確認しておくと安心です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です