宮城県では葬儀に幽霊が出る!?とある地域で参列していた三角頭巾の人々とは

日本は地方によって話す言葉が微妙に違ったり、独自の文化を築き上げていることがあります。それは葬儀でも見られる光景で、宮城県ならではの葬儀のしきたりも意外とたくさんあります。その地域で生まれ育った人達にとっては当たり前のしきたりなので不思議に思うことはないかもしれませんが、外の世界から見ると少し異様に見えることも多いです。今回は宮城県だけで受け継がれている少し不思議にも見えるしきたりを紹介していきます。

出棺時には天冠や三角頭巾を被る

宮城県の葬儀では男性が天冠と呼ばれる白い三角の布を被り、女性は白い頭巾をかぶります。なぜこのような格好をするのか、いくつか説はあるようですが最も有力な説は亡くなった方と同じ格好をすることで、故人が旅立つまで一緒にいるという意味があるようです。故人が寂しくないようにという優しい気持ちから生まれたしきたりと言えます。ちなみに出棺後には天冠や三角頭巾を外します。この理由は旅立ちは故人一人という意味があります。悲しいようですが、生きている者と個人の別れの瞬間です。家族や親族にとっては大事な時間ですがその姿はまさに幽霊のようなので、宮城県ならではのしきたりを知らない人にとっては幽霊に見えても不思議ではありません。男性が天冠と呼ばれる白い三角の布を被り、女性は白い頭巾をかぶるというしきたりを忠実に守り続けている地域はかなり減りましたが、今でもこのようなしきたりが存在するのは事実です。

中国では、かぶりものをしないものは野蛮人とみなしたので、みな冠をかぶっていた。そこで死者も、閻魔王の前に出る際には、冠をつけていなければならない。特に死者は清浄であることを表明するために白い冠をかぶるものとされた。

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000252134

宮城県では「式前出棺」を行う地域がある

葬儀の基本的な流れはお通夜と葬儀を終えてから、その後火葬になることが多いです。しかしながら宮城はこのような順番で葬儀が行われないこともあります。宮城県では「式前出棺」を行う地域があり、これは昔からあるしきたりの一つです。このしきたりは「式前出棺」と呼ばれていて、先に火葬を済ませてからお通夜と葬儀を行います。これは宮城県だけでなく東北ではよく見られるしきたりであり、決して珍しいことではありません。最初に火葬を済ませてしまう理由は東北という場所にあります。今は交通機関が充実しているのでそんなことはないかもしれませんが、昔の東北は交通アクセスが悪く、他の場所に住んでいる家族や親族が駆けつけるまでに時間が掛かることが多かったです。遺体を何日も保管するのも難しいので、最初に火葬を済ませる文化が根付いたようです。「式前出棺」という文化が根付いた背景には東北のアクセスの悪さがあります。

お通夜の時に「白ぶかし」を食べる

お通夜の時は簡単に食べられるおにぎりやサンドイッチのような軽食をはじめ、出前でお寿司をとったり、洋食や中華などのオードブルなどを用意することが多いです。弔問客は大人だけではなく、子供もいる可能性もあるのでお菓子などをたくさん用意することもあります。必ず食事をしなければいけないという決まりはないので、お茶などの飲み物だけで済ませることも多いです。お通夜では一般的にこのような準備をすることが多いですが、宮城ではお通夜の時に「白ぶかし」を用意することがあります。「白ぶかし」はおこわの一つで、もち米に加えて白ささげ豆という小豆の一種を混ぜたものを蒸かして作ります。簡単に食べられますし、腹持ちも良いので体力がつきます。昔はお通夜は大変な作業であり、ゆっくり食事をしている暇もありませんでした。そんな時に簡単に食べられる「白ぶかし」はとても重宝されました。「白ぶかし」は短時間の休憩でも食べられますし、お腹も満たされます。

葬列の時にはお金を撒く

葬列の時にはお金を撒く

お祭りで小銭を撒くことがありますが、葬儀でお金を撒くという話はあまり聞きません。しかし、宮城では葬列の時には小銭を撒くしきたりがあります。納骨の際には故人の歳の数だけ紙に小銭を包み、参列者に向けて撒きます。知らない人からすると何となく行儀が悪く見えますし、お金を撒く意味もよく分からないかもしれませんが、宮城ではそこまで珍しい光景ではありません。このしきたりは昔から受け継がれているので、今でも葬列の時にはお金を撒くこともありますが、最近は一人ひとりに手渡しする形を採用している家族が多いようです。このようにしきたりは必ず守らなくてはいけないものではなく、今の時代に合う形にマイナーチェンジしていくこともあります。葬列の時にはお金を撒くというしきたりも、今は形を変えて受け継がれている地域も存在します。特に石巻市や登米市は昔からのしきたりを守り続けている家庭が多く、今でも葬列の時にお金を撒くこともあるようです。

まとめ

宮城県で受け継がれている葬儀のしきたりは外の世界から見ると少し異様に見えることもありますが、その背景には東北ならではの事情や風習が大きく関係しています。出棺時には天冠や三角頭巾を被るのは他の地域ではあまり聞かないしきたりなので、知らない人が見ると幽霊が歩いているように見えることもあるかもしれません。石巻市や登米市のように昔からのしきたりを守り続けている地域もあれば、今の時代に合うような形に変えていく地域もあります。

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